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2013/11/13 [ 社会ニュース ]
報酬と成果は一致するのか(楽天イーグルス)

20131113

先週、プロ野球の日本シリーズも東北楽天ゴールデンイーグルスの勝利で幕を閉じました。
3.11による甚大なダメージを受けた東北地方の地元球団が優勝したことは、その東北の人達に大きな勇気と希望を与えたと思います。そんな意味からも、応援する球団が楽天ではないとしても、誰もが納得する結果だったと思います。
実力としても、今期を見る限りではパ・リーグでリーグ優勝を果たしていますし、エースの田中投手の連続無敗記録を見ても、ホンモノであったと思います。

それほど私は熱狂的なプロ野球のファンではありませんが、楽天がリーグ優勝に近づきつつある時期から、このチームの強さの原動力やチーム、もしくは球団マネージメントについて興味を持つようになりました。
球団の歴史から見ますと、かつては近鉄バッファローズとオリックスの選手混合チームとして、ネットショッピングサイトを運営する楽天がオーナーとして2004年にスタートしています。2005年に田尾監督を迎え入れリーグ参戦しています。初年度は予想通りに最下位で終わっています。気の毒だったのは責任を負わされた形の田尾監督を思い出します。
そして、2006年から4年間は、名将野村監督がチームを纏めることになります。2009年にはリーグ2位まで成長しました。野村監督といえば、ヤクルトと阪神にてID野球を定着させた人です。ID(Important Data)、すなわち収集した対戦チームのデータを分析し、ゲームの個々の場面に於いて対応させる手法です。例えば、相手投手の配球や投球の癖、弱点を分析した上でその対処法を攻撃に使います。ブラウン監督の2010年で最下位を経て、2011年から、やはり中日、阪神、北京五輪において実績のある星野監督が指揮します。1年目は5位、そして2年目は4位ですから決して常に上位を争うチームではなかったようです。

2005  6位     田尾
2006  6位     野村
2007  4位     野村
2008  5位     野村
2009  2位     野村
2010  6位     ブラウン
2011  5位     星野
2012  4位     星野
2013  1位(日本一)星野

なぜ、今シーズンの成績が良かったのでしょうか?
私は専門家ではありませんのであまり偉そうな論評はできませんが、大きく3つのことが深く関与していると思っています。

1.ID野球の浸透
ID野球=準備野球とも呼ばれ、星野監督になった今でも、楽天球団ではデータ分析の専門企業と契約して他球団の情報収集をしているそうです。野村監督時代の遺産を捨て去ることなく、今も活かしている点です。
日本シリーズの時にも、セ・リーグの常勝チームである巨人に対して物怖じしないゲーム運びができたことは、おそらく相手チーム・選手についての事前データが纏まっていて信頼性が高かったことが窺えます。

2.チーム、球団の成長
全く経験のないチーム・球団運営を手探りでスタートした楽天、ここ9年目にして運営手法が完成したのだと思います。特に大きいのは、野村監督と星野監督の両人によるチーム作り、選手作りでしょう。野球人としての心構えを伝える野村ミーティングもヤクルト時代からマスコミに取り上げられるほど定評がありましたし、星野監督の決して諦めない強い気持ちの選手への浸透もあると思います。

3.本拠地、東北からの応援
東日本大震災によって甚大な被害を受けた東北地方に本拠地を持つ球団、2011年と2012年は少なからず球団運営にも影響があったと思います(順位も5位、4位)。そこからの復活劇を東北地方の人達の多くは望んでいたでしょう。地元と一体となったチームは精神的に強くなります。これは、北海道に拠点を移した日本ハムファイターズにも似ています。
これこそ見えない力が、チームにエネルギーを与えたといって良いと思います。良いゲームをして地元を喜ばせたい、勇気や希望を持ってもらいたい、そんなチームと本拠地の思いがシンクロナイズしているのでしょう。

さて、私のもう一つの興味はお金のことです。タイトルにもしていますが”報酬と成果は一致するのか”、そんなことがエリートチームである巨人と日本シリーズで対戦することで比較をしてみたくなりました。
データはネット検索するとありました。
(ソース:http://www.baseball-money.net/team/team_2013_top_page.php)

詳細なデータはソースを見ていただくことにして、チームの比較としては次のようになっています。

「巨人」チームデータ
総年俸:42億7790万円
平均年俸:5281万円
平均年齢:27.14歳
登録選手数:81人

「楽天」チームデータ
総年俸:23億2380万円
平均年俸:3183万円
平均年齢:27.36歳
登録選手数:73人

総年俸では巨人は楽天の1.84倍、平均年棒では1.66倍と巨人は潤沢な費用を選手に用意しています。さすがに日本を代表する球団は、報酬も他球団とは違います。
では、その球団を支える企業である読売新聞グループと楽天を売上で比較すると、読売新聞グループは2012年度の売上高7135億円(うち読売新聞基幹6社は4292億円)、一方の楽天は4004億円(2012年度)になっています。企業規模からも巨人はビッグでした。

因みに両監督の報酬は、原監督が1億6000万円、星野監督が1億5000万円とセ・パ両リーグにおいても上位1、2だったのは偶然でしょうか・・・。

結論を出すわけではありませんが、報酬(給与)と成果が一致しない場面は、野球界に限らず通常の企業ビジネスにおいて多々あります。これは不公平なことではなく、ある意味資本主義社会においては仕方がないことです。
私がここの話題で言いたいことは、報酬だけではない働く上での価値を得ることが大切であることです。それがモチベーションとなり、個人や組織の向上に繋がっていくと思っています。楽天の選手や球団関係者は、それを感じていることでしょう。何よりも、自分達の勝利を喜んでくれる多くの人達がいることは、大きな励みになると思います。
我々の企業活動においてもそんな思いをしたいものですね。

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