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2013/09/20 [ 社会ニュース ]
オリンピックの経済効果について

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2020年7月、東京でオリンピック、パラリンピックが開催されることが正式に決まりました。4年に一度である世界規模のスポーツの大会を衛星中継でなく、同じ時間とエリアを選手達と共有していることを肌で感じることが出来ることを考えると、開催賛否の議論とは別にやはり楽しみな気持ちになってきます。

開催地の決定が公式に決まったことで、オリンピック関連株が値上がりしました。また、あれもこれも準備すべし、ここが期待できると1964年のオリンピックの再来(高度成長期の幕開け)とし、報道では数兆円(東京都は約3兆円の生産誘発額を試算)、数百兆円規模(民間の調査機関の試算)の経済効果を日本にもたらすなどとの発言が飛び交っています。
もちろん、大きな国際的イベントが開催されれば、その準備や実施において日本国内の経済の活性化は間違いなく高まるでしょう。
しかし、本当に日本にとって高度成長期の再来となるかを考えると、全く違うとものと思います。大規模なインフラの整備を挙げる専門家もいるようですが、ほぼ完成された東京エリアのインフラに巨額の投資が行われる必要性(可能性)はないでしょう。老朽化したインフラの整備は不可欠なものとしてありますが、新たな交通網の導入は国の懐事情を考えると常識的にはないものと考えます。
1989年2月に開催された長野冬季オリンピックの場合、新設の会場設備の他に新幹線、高速道路、会場への幹線道路の整備もありました。これで4兆7000億円の経済効果が日本国内にあったと長野県が推計しています。同じものさしで計れば、超インフレが起こらない限り約3兆円レベルであることの説明も分かります。

さて、皆様の会社には、このオリンピック誘致決定においてビジネス上の恩恵がありますでしょうか?

恐らく関連する企業においては、既に競争のための作戦が練られていることでしょう。
建設土木・造園、観光・ホテル、交通、スポーツ用具、フィットネス・エクササイズ、マスメディア・報道・出版、宣伝広告、映像機器、携帯端末、飲食・食品関連、グッズ、公式スポンサー、セキュリティ、気象予報、派遣業などなど、恩恵への期待が増していることと思います。
企業の生業は市場の需要に対して、その供給(商品やサービスの提供)を行うことでバランスが取れ維持することができます。しかし、一過性の期待に対して過剰な投資を行ってしまうと瞬間的にはビジネスへの恩恵がありますが、その後需要の減少によって供給力とのバランスが崩れてしまうでしょう。この見極めが経営者としては悩ましくもあり、企業存続発展の重要なポイントになります。

さて、長野冬季オリンピックにおいては、新設の会場含めて多くの投資がなされましたが、開催後に於いては設備の維持管理にコストがかかりすぎ、トータルとしては赤字であったと言われています。
先の話ですが、2020年の大会開催後に於いても、効果的で持続可能な投資であることを望みたいと思います。もちろん、企業のビジネス活動においても同様であると考えます。

オリンピック、パラリンピックには、数字で表すことの出来ない価値も存在します。
感動や勇気、様々な動機付けとして人々の心に留まります。それが開催国であれば、より価値が高まることは間違いありません。そして、これら人々の意識が、社会人であれば企業活動へ、学生であれば学業や将来の目標へ、こども達であれば将来への夢として育っていくことでしょう。そして、最終的にはそれが日本経済にも影響を与え、ビジネス活動へプラスに働くことと思います。
大会に併せて、そんなことも期待しながら楽しみにしたいと思います。

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