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2014/04/03 [ 文化・地域 ]
春スキーをしながら、厳しいスキー場経営を考える

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週末、家族で春スキーを楽しみに行きました。
場所は群馬県の片品村にある”かたしな高原スキー場”、ファミリー層をターゲットにし、子供向けのサービスを充実させたスキー場です。特に安全性を優先し、滑走形態の異なるスノーボードの滑走を認めていないのが特長です。そんなところを全面にアピールしてリピーター客を確保するのが狙いなんだと思います。かつてから、マスコットキャラクタに”ミッフィー”を用いたり、キッズスクールを常設したりと色々と工夫を凝らしているのは知っていました。
私もそのポリシーに賛同して、家族のレジャーとして利用し満足しているわけですが、その努力に対してビジネスとしてのスキー場経営はそれほど楽ではないかも知れません。

つい昨日も今シーズンの営業終了のタイミングで、群馬県の”パルコール嬬恋スキーリゾート”が20億円の負債で倒産(民事再生の申請)しました。引き継ぎ先が決まっているそうですが、再生の道のりはそう簡単ではないと思います。

レジャー白書によると1993年のスキー人口1900万人弱をピークに、2000年代に入ると急激に落ち込み800万人となっています。ちょうど、バブル期からバブル崩壊の歴史にスキー人口の推移も重なっています。
最近は、ある程度の貯蓄があり十分な年金の入るシニア層が、スキー産業を牽引しています。そして、スキーを楽しんだバブル期の若者達が、その家族を連れてくることを想定して、スキー場も様々なサービス(子供のリフト券は無料、ゲレンデ内に託児所開設など)を行っています。

レジャーの多様化、ライフスタイルの多様化、そして人口の減少もありますので、日本経済が改善されても、ピーク時のスキー人口に届くことは全くないと思います。今は、ピーク以前の状態に戻った、そう考えると800万人前後がビジネスとしての需給ラインなのかも知れません。
実際にスキーは、昔から移動の費用、用具の費用、滞在の費用など、お金の掛かるスポーツですし、それなりに練習量を持たないと上達もしませんから、万人向けの趣味とはなりません。(ピーク時には格安スキーバスツアー、大手スキーショップによる道具の低価格化もスキー人口増加の後押しもしていました。)

スキーリゾートに特化したコンサルティング企業の出現、また低迷するスキー場を買い取り改善事業で成功を収めているスキー場経営会社の話題も最近は聞くようになりました。
要は、スキー場、道具メーカー、宿泊、アクセス(移動手段)を一体として顧客にサポートしていくことで、行きたくなるような優位性をもたらすことがポイントです。
そう考えると、今あるスキー場の多くは、まだまだ改善すべき点が目につきます(ユーザーとしての目線から)。もちろん、大きなコストを掛けずに出来ることばかりです。
例えば、①駐車場からスキー準備までのスムースな動線、②雪解けによる泥濘の放置をしない、③スキー活動にリンクした宿のチェックイン、チェックアウト、④簡易な宅配サービス手続き、⑤サービス業としてのスタッフの行動改善、などなどです。

私のようなヘビースキーヤーにとって、スキー場自体がなくなってしまうことが最も残念であり辛いことです。日本国内には、温泉があったり、雪質がよかったり、コースがよかったり、そして地元の料理やお酒が旨かったりと、魅力あるスキー場がたくさんあります。
厳しい経営環境とは云え、そんな強みを活かしながら、顧客であるスキーヤーにサービスを提供していけば、堅実なビジネスとして成り立っていくと考えます。
今シーズン、あと2回は春スキーに行きたいですね。

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