Blog ブログ
ソチ・オリンピックが終わりました。
楽しみにしていた大会最終日のスキーアルペン男子回転競技、残念ながら日本から出場の2選手は1回目に30位以内で完走し、続く2回目で上位に食い込むチャンスを得ながら、その2回目にはスタート直後の急斜面でバランスを崩し転倒、もしくはその後のリズムを乱して旗門不通過により、両者途中棄権となりました。なんとも、あっけなく、ある意味彼ら本来のスキルでは考えられない低いレベルの滑走となってしまいました。
結局、このレースのメダリストは1回目の上位者で2回目を無難に滑り降りた選手でした(金メダルは34才のMario Matt選手:オーストリア)。
レース解説者はあまり説明をしてくれていませんでしたが、相当に雪が柔らかく、掘れて硬い部分と溜まった雪によりスキー板を取られたように見えました。また、コースセットもスタート後の急斜面は旗門間隔短く、中盤の緩斜面入り口までトリッキーなセットであったと思います。完走者が117人中45人、コースセット自体に無理があるのでは、そんな批判もあったようですが、難度の高いセットの攻略も見物の一つですから、私個人的にはこれもありと興味深く見ていました。
佐々木選手、湯淺選手ともにこの結果を不本意に思い、悔しい結果であったことをインタビューで答えていましたが、それは痛いほど分かりました。
何が彼らが持つ本来のスキー技術が発揮されなかったのか、メンタル面に何かあったのか、色々と考えてみましたが、まったく不明です。彼らはワールドカップを転戦するトップスキーヤーですから、本番で大失敗をするとは思えないのです。
今回のJOCからの派遣は、選手2名に対して役員6名がスキー・アルペン競技をサポートしていました(監督1名、コーチ4名、トレーナー1名)。
きちんと考察して欲しい点でもありますし、湯淺選手については、4年後のオリンピックを目指すとのことですから、是非とも引き続き頑張って欲しいところです。
それにしても、これから日本のアルペンスキーはどうなるのでしょうか?
女子について云えば、連続2大会のオリンピックに選手を派遣していません。
男子については、回転の1種目のみ、滑降、スーパーG、大回転、コンバインドには選手を出していません。
本来であれば冬季オリンピックの花形競技であるアルペンスキーですが、日本に関して云うとフリースタイルやスノーボードに大きく押されています。
今後の選手育成や一般スキーヤーへの感心の広がりを考えると、不安にならざるを得ません。
統括している全日本スキー連盟(SAJ)は、オリンピックへの選手選考基準を次のように定めていました。
ソチ・オリンピックアルペンスキー出場条件基準
- 昨季の世界選手権、または2012~13年、13~14年のワールドカップで8位以内に入ること(1回以上)
- アルペンのみ競技レベルを考慮して「20位以内を2回以上」
これはメダルを取れる選手を絞り込む理由からだと思います。当然、他のスキー、スノーボード競技との予算配分もあるでしょうから、普通に考えれば納得もできます。
ただし、今後もこのように狭き門にしてしまうと、アルペンスキー競技でトップを目指す選手(ジュニア含め)が動機付けの観点から減ってしまうのではと思います。
国別の参加者枠との関係は分かりませんが、今回のソチでは少なくとも選考が期待されていた女子選手2名、男子でプラス1名いましたので、もう少し選考基準を緩めてもらえれば、日本選手の活躍が期待できたかもしれません。少なくとも、映像の視聴を我々は楽しめ、興味の幅を引き出せたかと思います。
かつては、国内でも滑降(ダウンヒル)の大会が存在していましたが、今はスキー場の営業上なくなってしまいましたので、800m を越える標高差を時速100キロを越えるスピードで滑り降りる、圧巻する滑走の醍醐味を見る機会もなくなりました。
そして、一般スキーヤーにとって手軽だった”コイン式のナスターレース”も最近は見なくなりましたし、そもそもポール常設バーンも減りました。SAJのスキー指導員検定においても、かつては制限滑降として競技基礎を求められましたが、今はなくなっています。
ハーフパイプやモーグルバーンをよく見かける反面、スキーアルペンの存在が益々遠くなってしまいました(機会の喪失により)。
レジャーや健康志向のスキーもよいですが、スキーをする誰もが、もう少し技術向上や機会として競技系への参入がしやすい環境整備が必要だと思いますし、日本のスキー界の発展にとっても重要だと思います。
4年後には、新たなヒーローがスキーアルペン界にも登場することを祈りたいと思います。