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先週、昼休みと運動を兼ねて、歩いて上野の森に行きました。
ここ小石川からは、西片、本郷を越えて池之端へ、そして不忍池を見ながら歩いて約30分で到着です。目的は東京都美術館で開催中の”ターナー展”です。
ターナー(Joseph Mallord William Turner:1775-1851)は、イギリスを代表する絵画の巨匠で、風景画の地位を向上させたことで知られています。当時は、宗教画や歴史画より低いテーマとして風景画は位置づけられていました。
この特別展、会期中に是非見に行きたいと思っていました。
20才で初めてロンドンを旅した時、テムズ川沿いの美術館であるテート・ギャラリー(現テートブリティッシュ)に立ち寄り、多くの彼の作品を見て感激、ターナーの名前を知ることになります。その後、ロンドンには仕事や学習で何度も行ったりしましたが、記録を見るとテートに寄ったのは1990年が最後になっています(この時、分厚いカタログを購入して持って帰ってきています)。
そんなことで、彼の絵との久々の再会を楽しみにしてました。
平日の昼時にもかかわらず、美術館は混み合っていました。時間も限られていたので、今回は説明文を読むことなく、音声ガイド装置を借りました。ナレーションの声の主は俳優の辰巳琢郎さん、こちらも久々にお声を聞きました。
ターナーの風景画には、構図、色彩、ストーリーなど学べき点がたくさんあります。
私は写真を撮りますので、作品の鑑賞中にはそんなことを意識しながら見るようにしています。
彼の絵画の構図については、テーマにも依存しますが、見学者がその場にいるような感じにさせるものが多いのが特長です。基本に忠実な遠近法ですが、スクープ的な大胆なアングルは見るものを惹き付けます。実際に火災現場、嵐の中の船外など、通常では体験困難な現場に近づくことで、緊迫感とリアル感を吹き込んだ絵が描くことができます。
色彩については、初期の水彩画が基本にあり、油彩についても色使いの中には水彩のテクニックが活かされ、筆のタッチを変えながら実験的に色を作り出しているところが面白いところです。
そしてストーリー、ターナーが何を描きたかったのか、この謎解きをするのは、時代ごとに彼の画家として名声をあげる背景が参考になります。また、彼の持つ画家としてのポリシーも絵に現れ、これは現在の絵画、写真芸術の作者感を理解する共通のポイントです。
200年以上も前の画家の作品から、読み取るのも絵画鑑賞の楽しいところです。
短時間でしたが、芸術の秋を堪能することができました。
12月18日まで開催、お勧めです。